天才策士は一途な愛に跪く。
キョトンとした表情の瑠維は大きな瞳をパチクリさせて意味が解らない
表情を浮かべて遥を見ていた。

「・・???なんだよ、何の話だよ・・・。」

遥がビシッと人差し指を立てて、瑠維の目の前でキッパリと言った。

「大好きなんだからさ!!認めたら?
完璧にかっさらわれる前に、とっとと気づいて自分の気持ちに素直になんなさいよ!!」

瑠維のたれ目がちの大きな瞳はびっくりしたように瞬きを繰り返した。

「は・・?俺が、大好きってそんな奴いないし・・・。」

心底驚いた顔の瑠維に、怜はため息交じりに肩を叩いた。

遥は呆れたような表情でホールスタッフを呼ぶと、追加の酒をオーダーし始めた。

「M1の頃から、好きだっただろ?いつも晶ばっかり見てたし。誰と付き合っても長続きしないのは
心の中に違う誰かがいたからだろ?」

その言葉に黙り込んだ瑠維は思案するように考え出した。

少しして、ふらりと席を立って砂浜のほうへと歩き出した。

「・・・行ったけど、どうする?」

怜は、心配そうな表情で遥を見た。

頬はピンク色に染まって、さらりと艶のある髪をかきあげた遥はすでに小さく見える瑠維を見た。

「一人にしてあげよう。どっちも鈍すぎて終わってるけど・・。瑠維が今気づけばチャンスは
あるでしょ。」

「ふーん・・。お前はそれでいいのか?」

意味ありげな顔で問う怜を遥はキッと睨んだ。

「私は・・。瑠維にも、晶にも幸せになって欲しいのよ。どっちにしても長い片思いが
続くだけよ!そろそろケリをつけたいもの。」

「お前は大変だな・・。今日は付き合うよ。飲もう、遥。」

怜は眼鏡を外して、色白で優しい瞳で笑った。

「うん!!そうだ!今夜は徹底的に飲んで怜を潰しちゃおうかな。」

「ははは・・。馬鹿だな、先に潰れるのはきっと遥のほうだよ。」

怜の言葉に遥は嬉しそうに笑った。

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