天才策士は一途な愛に跪く。
「私が好きなのは山科くんだけなの・・。」
その言葉に、痛みを感じた様子で私から目を背けた瑠維は私の肩を掴んだ。
「解ってるよ。だけど、・・・あいつは嫌なんだ!!」
「・・・っ!?」
掴まれた肩に置かれた熱い体温と、言いようのない不安とで私は固まっていた。
驚いた私の身体を引き寄せて、すっぽりと大きな腕に抱きしめらる。
波の音だけが私の耳に繰り返し響いていた。
この状況に理解が追い付かなくて頭はクラクラしてくる。
「絶対に、現れないと思ってたんだ。
だから・・・。俺がお前の側にずっといるのにって!!」
「瑠維!?何してんの!!?ちょっと・・笑えないんだけど!!」
ドンと、腕を力一杯押してもビクともしない。
私は、大きな瞳で睨むように顔を上げた。
「やめてよ・・・。お願い、離してってばっ!!」
瑠維の綺麗な瞳は泣きそうな表情で耐えるように私を見下ろしていた。
「ごめん・・。だけど・・・。好きなんだよ!!
別にこの気持ちが報われなくてもいい!!
ただ、晶の側にいるだけでいいから・・。行かないでよ。」
温かい瑠維の体温と、心臓の音が聞こえる位置で強く抱きしめられた。
強張る身体と、驚きとで私の頭は混乱していた。
瑠維の首元からシトラスの香りがする。
私はこの状況にどうしていいか分からなかった。
「駄目だよ・・。ずっと瑠維は友達だと思ってたのに・・。何でこんなことするの?」
苦しくて、痛い・・。
瑠維の気持ちも、私の煩い鼓動の音も。
震える腕で強く抱きしめられた感触も・・・。
「お前の気持ちは解ってるよ。・・だけど俺は違う!!
俺、あいつに晶を渡したくない。絶対、晶が傷つく時がくるような気がするんだ!!
どうしようもない事だってわかってる。
だけど・・俺・・!!」
私は瞼をぎゅうっと閉じて、手にありったけの力を込めた。
ドンッ!!
勢いよく胸を押し出して、瑠維の身体を突き放した。
「・・・晶。」
痛みを瞳に浮かべた瑠維の目は見ているだけで苦しくなった。
大好きな親友・・。
いつも自然体でいられた
わたしの唯一無二の男友達だったのに・・。
「・・・いいの。私は傷つけられてもいい。」
冷たい夜風が2人の間を通りすぎる。
私は胸の痛みを堪えて瑠維に向き合った。
「山科くんになら傷つけられてもいい。
だから、お願い・・・。もう、放っといて・・・。」
その言葉を耳にした瑠維は瞳を凍てつかせて口角を下げた。
身体が底冷えする感覚を覚えた。
「ごめん・・・。おやすみ。」
私は、地面を思い切り蹴って長い髪を振り乱して駆けだした。
サンダルは冷たい砂に足を取られて踏み出した足はずっしりと重く感じた。
私はホテルの部屋へと一目散に走り出した。
傷ついたような瞳で私を見る瑠維を振り切って・・。
その言葉に、痛みを感じた様子で私から目を背けた瑠維は私の肩を掴んだ。
「解ってるよ。だけど、・・・あいつは嫌なんだ!!」
「・・・っ!?」
掴まれた肩に置かれた熱い体温と、言いようのない不安とで私は固まっていた。
驚いた私の身体を引き寄せて、すっぽりと大きな腕に抱きしめらる。
波の音だけが私の耳に繰り返し響いていた。
この状況に理解が追い付かなくて頭はクラクラしてくる。
「絶対に、現れないと思ってたんだ。
だから・・・。俺がお前の側にずっといるのにって!!」
「瑠維!?何してんの!!?ちょっと・・笑えないんだけど!!」
ドンと、腕を力一杯押してもビクともしない。
私は、大きな瞳で睨むように顔を上げた。
「やめてよ・・・。お願い、離してってばっ!!」
瑠維の綺麗な瞳は泣きそうな表情で耐えるように私を見下ろしていた。
「ごめん・・。だけど・・・。好きなんだよ!!
別にこの気持ちが報われなくてもいい!!
ただ、晶の側にいるだけでいいから・・。行かないでよ。」
温かい瑠維の体温と、心臓の音が聞こえる位置で強く抱きしめられた。
強張る身体と、驚きとで私の頭は混乱していた。
瑠維の首元からシトラスの香りがする。
私はこの状況にどうしていいか分からなかった。
「駄目だよ・・。ずっと瑠維は友達だと思ってたのに・・。何でこんなことするの?」
苦しくて、痛い・・。
瑠維の気持ちも、私の煩い鼓動の音も。
震える腕で強く抱きしめられた感触も・・・。
「お前の気持ちは解ってるよ。・・だけど俺は違う!!
俺、あいつに晶を渡したくない。絶対、晶が傷つく時がくるような気がするんだ!!
どうしようもない事だってわかってる。
だけど・・俺・・!!」
私は瞼をぎゅうっと閉じて、手にありったけの力を込めた。
ドンッ!!
勢いよく胸を押し出して、瑠維の身体を突き放した。
「・・・晶。」
痛みを瞳に浮かべた瑠維の目は見ているだけで苦しくなった。
大好きな親友・・。
いつも自然体でいられた
わたしの唯一無二の男友達だったのに・・。
「・・・いいの。私は傷つけられてもいい。」
冷たい夜風が2人の間を通りすぎる。
私は胸の痛みを堪えて瑠維に向き合った。
「山科くんになら傷つけられてもいい。
だから、お願い・・・。もう、放っといて・・・。」
その言葉を耳にした瑠維は瞳を凍てつかせて口角を下げた。
身体が底冷えする感覚を覚えた。
「ごめん・・・。おやすみ。」
私は、地面を思い切り蹴って長い髪を振り乱して駆けだした。
サンダルは冷たい砂に足を取られて踏み出した足はずっしりと重く感じた。
私はホテルの部屋へと一目散に走り出した。
傷ついたような瞳で私を見る瑠維を振り切って・・。