天才策士は一途な愛に跪く。
でも、時々隠れドSな部分が垣間見えてはいたけど・・。

再び重ねられた唇が、熱を帯びていた。

自分の熱なのか、
彼のものなのか解らない・・。

「うっ。そんな、、あっ。。」

涙目になりながらも尚も止まない口づけに私は観念して
ゆっくりと瞼を閉じた。

抱きしめ返した聖人の腕をぎゅっと強く抱きしめた。

夢でもいいなんて思わない。

報われなくていいなんて、・・・もう言わない。

私はこうやって聖人と再会出来て、
好きだと言ってもらえる事実を噛み締めた。

顎をゆっくりと上に上げて、切なげに私を見下ろす聖人の姿が映る。

「・・っ。まだ、信じられない??
事実を認識しないなら続けるよ?」

挑むような表情で私を見た聖人に、身を乗り出した。

「会いたかった・・・。
夢みたいだけど・・嬉しかったの。ずっと、ずっと!!」

私は両手に力を込めて彼を丸ごと抱きしめた。

「一緒にいる約束をしたのに、すぐこれじゃ・・・。
君を一人で放っておけないんだ。
検査結果は異常はなかったけど点滴が終わるまで、ゆっくり休んで。
元気になったら、一緒に帰ろう。僕はもう君と離れるつもりはない!」

気がつくと、両目から涙が溢れ出していた。

「うん・・。迷惑かけてごめんなさい!!私・・。」

「ほら、泣かないで・・。君の心配ならさせて欲しい。
晶は、僕が守りたいたった一人の人間なんだ。」

その言葉に彼女の綺麗な蒼い瞳が嬉しそうに僕を捉えて
幸せそうに微笑んだ。

「ありがとう・・。本当に、嬉しくて。こんな状態なのに、
今がものすごーく幸せだなって・・思った。」

そっと彼女を横たえて、僕はベッドの横の椅子に再び腰を下ろす。

「眠って・・。ゆっくり休んで、元気になってね。」

頷いた彼女の笑顔に、胸が締め付けられそうになった。

愛しい、愛しい少女。



唯一守るべき家族だった美桜には、今は頼れる慧がいる。


だけど、彼女には母との関係や、義父との関係が上手くいかずに
帰る場所も、守れる人間もいない。

あの時の僕はまだ何も知らずに・・。
僕は確かに、・・・そう信じていた。



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