天才策士は一途な愛に跪く。
落ち着いた眼鏡をかけた少し年下の男性と、長身の外国籍の男性が
聖人の横に並んでいた。

「帝都医大で研究をしていた里中 藤伍くんと・・・。」

金色の髪をサラりと靡かせた青い瞳の男性が
わくわくした表情で青い大きな瞳を輝かせてお辞儀をした。

「ドイツの研究機関で研究員をしていた、アオイ=フォン=マッケンゼンです。」

アオイ??

見るからに外国歴の彼のファーストネームが日本名なことに私は驚いた。

「ブレインの記憶部分の研究をしてきました!!ここはその専門研究が出来ると
いうことなので楽しみです。どうぞ宜しくお願いします!!」

この人、日本語が上手・・・。

私は驚いて顔を上げた。

金髪の彼はキョロキョロと周りの見渡していた。

責任者である私を探しているのかしら?

「森丘 晶です。
お2人と、同じラボで研究することになると思います。どうぞ宜しくお願いします。」

私は一歩前に出て、新たに加わった2名の顔を見ながら、丁寧にお辞儀をした。

顔を上げた瞬間、2人の横に並ぶ聖人と目が合う。

優しく目じりを下げた聖人につられるように、私の瞳も細められた。

「アキラ!?・・・君がアキラ!?」

ずいっと距離感なく近くまで乗り出してきたアオイ=フォン=マッケンゼンに
私は驚いて固まった。

ザワッとフロアー内が騒がしくなる。

「・・え、ええ。あの、そうですけど・・。」

初対面の彼に、ガシッと手を握られて戸惑いを隠せなかった。


彼は、無防備にキラキラした青い瞳で私をみていた。

「ずっと会いたかったよ・・。アキラ!!
君の論文最高だったよ!!一緒に働けるなんてめちゃくちゃ嬉しいです!!」

めちゃくちゃって・・。

私は驚いた顔でアオイを見上げた。

青いビー玉のような瞳が爛々と輝いていた。
瑠維に似た、犬っぽい可愛らしい顔立ちの男性・・。

私の論文をちゃんと読んでくれたんだ・・!!

彼のその言葉に嬉しさを隠せなかった。

「あ、いえそんな・・!!こちらこそ、今日から宜しくお願いします。」

彼の背後に立つ聖人の表情は穏やかな笑顔だった。

秘書の男性は、そっとアオイ君に耳うちをして引きはがす。

コホンと咳払いをしたアオイは、みんなの方へと向きなおした。

私よりも、15センチは高い長身の身体で丁寧にお辞儀をした。

「日本語は昔から勉強してたので得意ですが、
解らないところはみなさん教えてください!!」
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