天才策士は一途な愛に跪く。
新たなメンバーが加わり、その場は温かい拍手に包まれた。

爽やかなイケメン外国人男子の登場に研究室の男女ともにザワついていた。
女性は嬉々として彼を見て騒いでいた。

そんな折、笑顔を振りまきながら聖人は社員を見渡した。

「このプロジェクトは国際的にも大きく飛躍していく足掛かりとなる、
うちの社運をかけた大プロジェクトになるでしょう。皆さんの活躍を楽しみにしています。」

琥珀色の瞳と、茶色のサラサラ髪を靡かせた
美貌の社長の言葉にみんなが目を輝かせていた。

もちろん女性たちは、そりゃもう幸せそうに聖人を眺めていた。

あの二人が並べば、そりゃそうなるでしょうが・・。

私は心の中でツッコミを入れた。

王子様のような容姿の聖人と、外国人のこれまた王子様系のアオイ・・。

この会社はハイスペック男子が多すぎだよ!!

女性比率は男性と比べて少なめだけど、20~30代の女子が多かった。

ここで上手くやらなきゃ!!

よし、その為にも出来るだけ聖人との社内での接触は避けなきゃ!!

アオイ君もスキンシップ多そうだからなるべく2人っきりにならないように
しよう!!

私はこの瞬間、胸に決意を刻んだ。

その半日後、その決意は無残にも粉々になることを知ない
私は一人息巻いていた。


「森丘チーフ、今日の歓迎会は参加で大丈夫ですか??」

私のプロジェクトチームの唯一の女性、小林 明日奈(こばやし あすな)さんが

笑顔で私のデスクの上にコーヒーを置いた。

女子力も高めのネイルと、肩までの巻き髪姿の彼女はスカートの上に白衣を
身に着けて、如何にもモテそうな女子だった。

「・・・あー。今日ですか??
あの・・。ちょっと先約が・・。」

遥達と転職祝いをしてもらう予定になっていた。

「そうなんですか・・!?どうしょう・・。
チーフの歓迎会も兼ねてるんで、是非いらして欲しいんですが・・。」

どもる声で、答えると残念そうに明日奈はもっていたお盆を両手にもって小首を傾げた。

私は、思案するように考えた後に思むろに手帳を取り出して、机の上の電話の受話器を取った。

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