天才策士は一途な愛に跪く。
「「変わりました。・・・加賀ですが・・!!」」

すぐに、電話口に遥の元気な声が現れた。

「忙しいとこゴメンね・・。今日、会社の歓迎会が入っちゃって・・。
21時過ぎに頃に合流しても良いかな??」

「「そんなの全然大丈夫よ!!それより、携帯はまだ治らないの??」」

「うん。やっぱり駄目になっちゃってて・・。
新しい物を用意してもらうことになったの。夕方、取りに行く予定だよ。
いつもの店に、歓迎会終わり次第行くから・・。みんなと先に飲んでて。」

「「解ったよ、怜と瑠維にはまた後でラインしとくね!!歓迎会、頑張ってね!」」

「有難う。また携帯が戻ったら連絡入れるね!!じゃあ後でね、遥。」

電話を切って、側で私のやり取りを聞いていた明日奈の顔を見ると
ニッコリと嬉しそうに笑っていた。

「では、チーフも参加ですね!!
歓迎会は18時から開始になります。
お店はここから5分くらいのイタリアンのお店になんですよ。」

一枚のビラを私に渡すと、今度はアオイの席にルンルンで出欠を聞きに向かった。
私は渡された地図を確認していると視線を感じて、顔を上げた。

明日奈と話し中だったアオイの視線と目が合う。
私の方を見て、ニコッと笑顔で笑った。

「・・!!??」

えっと・・。今のは何だ・・・!?

私は少しだけひきつった顔で笑顔を返した。

「乾杯ー!!!」

お洒落なイタリアンのお店の個室には大勢の社員でごった返していた。

40人ぐらいが集まったお店の個室はワイワイと活気があった。

私は、シャンパンを片手にさっきから熱心に話しかけてくるアオイと、明日奈の
間に挟まれていた。

「チーフって、美人ですよね。ハーフですか??」

グサッと刺さる質問を直球でされた私は苦く笑った。

「そうなの・・。そんな小林さんは、女子力高いわね。そのネイル綺麗ね。」

話題を変えるべく、彼女のネイルを褒めた。

「えー・・。そんなことないですよ!!
チーフこそ、身長高いし、モデルみたいで憧れちゃいます!!
私なんて、ヒール履いても160センチもいかないのに・・。」

「女の子らしくて、とても可愛いじゃない。お洋服も素敵ね。」

おーっとこれは・・。

噂のマウンティングか!?

私は、アオイの前でアピールを続けるザ・女子の下げトークに驚いていた。

「そんなぁ・・。ありがとうございます、チーフ!!
アオイくんはどう??日本人の小柄な女子って好みじゃない??」


今までのラボや、大学院時代もこういうタイプの理系女子は少なかった・・。

どう切り返したらいいか全くわかんなかった。

落ち着かせようと、手元のシャンパンをぐいっと飲み干した。

「ふーん・・。僕は、モデル体型の女性のほうが好きかな。」

ブハッ!!
私は思わずシャンパンを吹き出しそうになった。
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