逃げないでよ、望月
望月は一瞬少し目を見開いて、(ような気がした)
羅衣の方に視線を向けて睨んだ。(?)
「もっちー、どうしたのー?」「よそ見しないでよー」
女の子たちは、またほっぺたを人差し指で触りながらそう言っていた。
そこで目は合わなくなったけど、、
女の子たち、、なんてかわいらしい言葉…!!
「よそみしないでよー」
こんなの可愛い望月に言われたらきゅん死だよ…。
そ、それはおいといて。なぜ羅衣を睨んでいたのかわからない。
羅衣は同じクラスになったことあったっけ…?
気になる。
この10メートルを縮めて、話しかけちゃえとか思う。
…いーいやいやいや!!でもはずかしい!!
あんなに可愛い人の近くに行くなんて!!!いや、それはオーバー?今までなんか業務連絡とかな感じで話した(私からクラス会◯日だよみたいな一方的)ことあるし!!!
一応クラスメートで近づいたことぐらいはあると言えるよ、、、ね、??
今なら話題もあるし!!
丁度話してみたいと思っていたところだったから、
話しかけてみよう!
これは自分の意志であって、決して羅衣が小さく「話しかけろ」と言っていたからではない。きっと。そう。
少しずつ歩く速さを上げて望月との距離を縮める。
周りに女の子たちがいて、その子たちもいるのに話しかけるなんて怖いけど、羅衣の目の方が怖い。
よって、話しかける。勇気をふりしぼって。
左から話しかける形になってる。なんとか視界に入ってから…!
結局のぞき込む形になった。
「えーっと、望月おはよう」
「お、おはよう藤堂」
今、確かに聞こえた。
「挨拶だけなわけないよね?」
という背筋が凍る低い声。
これはもちろん羅衣の声だ。
どうやら私がこの変な挨拶で会話を終わらせようとしていたのが見え見えだったらしい。
「な、なんで羅衣のこと睨んでた…?の?もともと知り合いとか?」
「あっ、みえてたんだ…。視力いいね。一回同じクラスになった、んだよ」
視力、、ほめられた、、、
なんだかすごくたどたどしいけれど、
近くで見るとやはり望月は可愛い。その上、とても綺麗だ。いろいろ。
肌も目も顔もそれぞれのパーツも…。
視力いいねとかかわよ!!!実は視力いいねってやつは小声だったんだけど私の耳の細胞がちゃんと働いてたみたいだから聞こえた、、、
私なんかが、と申し訳なさを感じながらも、ぜひお近付きになりたい!という気持ちが勝つ…。
しかもめっちゃほっぺ柔らかそう…。
もはやそのほっぺたの前では、女の子たちがいるなんてわすれてしまうほどだった。