逃げないでよ、望月
「ほっぺた、触ってもいい…?」
望月は背が男の子の中では高めなわけでもないけど、なんとなく上目遣いってのをしてみた。
この私でも、上目遣いっていうのは少し人を可愛くするということを知っている。
特にこういうことも抵抗はないし、
あっ、でもでも望月に気持ち悪いとか言われたら軽く5回は死ねるかも。
「…え?」
そんなとき、望月の顔はなぜか赤くなっていて、
しかもその近くにいる女の子たちまで赤くなっていた。
なんかよくわからないけど怯んでる、、
ってことはチャンスだよね。逃すわけにはいかないよね。
ってことで袖口をそっとつかんだ。
望月は運動神経までいいっぽいから、逃がさないよって。
もう一度上目遣いの術を行使して望月をみつめる。
「お、お願い…」
「……っえっと…、いい、よ?」
真っ赤な望月も可愛いなあ……なんて考えながら、
人差し指で遠慮がちにそっと触れた。
ちょっと熱くなってて、すっごくツルツルスベスベもちもち〜〜!!
「やわらか…気持ちいい…」
「ありがとう?俺、いろんな人に触られて慣れたから、
いっ、いつでも普通に触っちゃっていいよ?…藤堂からならむしろうれ、しいし…!」
私からならうれしいってなんだろう?そっと触るから?よくわからない。
とりあえず触られるのは、慣れるものなのだろうか、、って。
実際に頬もこんなに柔らかいのに性格までいいとは…
「…慣れるものなのかな、優しいんだね!」
頬を触るのをやめ、望月の性格の良さで、望月にはまっていくのがばれないように、にっこりと笑って言う。
すると、その瞬間望月の顔はもっと真っ赤になった。
「望月かわい、、」
「っ、、まじ、そういうのなんとも思ってない人にしない方がいいよ。勘違いしちゃうよ。」
「?なんの勘違い?」
どういう意味だろう。そんなに変な事はしていないと思うのだけど。
そんなに笑顔が怖かった??
笑顔の練習とかしようかな。
私のほっぺ堅いのかな?
私が疑問を抱いている間、望月と羅衣は目を合わせてため息をついていた。