時を繋ぐ真実の物語<「私の獣」番外編>
「これは……、驚いたな」
口角を上げて、フッとケプラーが笑う。
「こんな価値ある本をこんなところに持ち出すなんて、とんでもないご令嬢だ」
「その本を、ご存知なのですか?」
「もちろん」
ケプラーは予言の書を手に取ると、そっとページを捲った。
よほど興味があるのか、これまでの雰囲気から一転して、目が爛々と輝いている。
「初代ロイセン王と、占い師の話は知っていますか?」
「……いいえ、あまり詳しくは知りません。かつて、この国の政は占星術で決められていた、ということぐらいしか」
ケプラーが、ページに視線を注ぎながら語り出す。
「千年以上も前、この国では神のお告げを聞くことの出来る占い師、すなわち巫女は絶対的な存在でした。そしてこの国に王が必要となった時、巫女に王を選ばせたのです。数多の有力な男の中から巫女に選ばれ国王となったのが、初代ロイセン王だと言われています」
「そうなのですね……」
そこで、ケプラーはページを捲る手を止めた。そして、挑発的な視線をアメリに向ける。
「それで、あなたのご用とは?」
アメリは、口もとを引き結んだ。
そしてケプラーがちょうど開いている、予言の書の最後のページを指さす。
そこには、カイルを苦しめたロイセン王国の滅亡に纏わる予言が書かれていると思われた。
「その予言を、書き替えてもらいたいのです」
口角を上げて、フッとケプラーが笑う。
「こんな価値ある本をこんなところに持ち出すなんて、とんでもないご令嬢だ」
「その本を、ご存知なのですか?」
「もちろん」
ケプラーは予言の書を手に取ると、そっとページを捲った。
よほど興味があるのか、これまでの雰囲気から一転して、目が爛々と輝いている。
「初代ロイセン王と、占い師の話は知っていますか?」
「……いいえ、あまり詳しくは知りません。かつて、この国の政は占星術で決められていた、ということぐらいしか」
ケプラーが、ページに視線を注ぎながら語り出す。
「千年以上も前、この国では神のお告げを聞くことの出来る占い師、すなわち巫女は絶対的な存在でした。そしてこの国に王が必要となった時、巫女に王を選ばせたのです。数多の有力な男の中から巫女に選ばれ国王となったのが、初代ロイセン王だと言われています」
「そうなのですね……」
そこで、ケプラーはページを捲る手を止めた。そして、挑発的な視線をアメリに向ける。
「それで、あなたのご用とは?」
アメリは、口もとを引き結んだ。
そしてケプラーがちょうど開いている、予言の書の最後のページを指さす。
そこには、カイルを苦しめたロイセン王国の滅亡に纏わる予言が書かれていると思われた。
「その予言を、書き替えてもらいたいのです」