時を繋ぐ真実の物語<「私の獣」番外編>
高台に位置するロイセン城は、くりぬき窓のある回廊まで出れば、国を一望できる。
カイルはそこで、茜色に染まる城下町を見下ろしていた。
夕風に揺れる金糸雀色の髪に、凛々しい背中。
そのうしろ姿を目にしただけで、アメリの心に安堵感と愛おしさが満ち溢れる。
「アメリ?」
すると、気配を感じたのかカイルが後ろを振り返った。
途端にカイルは険しい顔つきになると、早足でアメリに歩み寄る。
「今日は姿を見なかったが、どこかに出かけていたのか?」
「ご報告せずに、申し訳ございませんでした。町まで、所用に出ておりました」
カイルの顔は、明らかに怒っていた。
二年の眠りから目覚めて以降、一度も見たことのない顔つきに、アメリは怯む。
「……どこにも行くなとは言わない。だが、出かける時には必ず報告しろ。護衛の者は、連れて行ったのか?」
「はい。ご心配には、及びません」
「そうか」
カイルはそこで、茜色に染まる城下町を見下ろしていた。
夕風に揺れる金糸雀色の髪に、凛々しい背中。
そのうしろ姿を目にしただけで、アメリの心に安堵感と愛おしさが満ち溢れる。
「アメリ?」
すると、気配を感じたのかカイルが後ろを振り返った。
途端にカイルは険しい顔つきになると、早足でアメリに歩み寄る。
「今日は姿を見なかったが、どこかに出かけていたのか?」
「ご報告せずに、申し訳ございませんでした。町まで、所用に出ておりました」
カイルの顔は、明らかに怒っていた。
二年の眠りから目覚めて以降、一度も見たことのない顔つきに、アメリは怯む。
「……どこにも行くなとは言わない。だが、出かける時には必ず報告しろ。護衛の者は、連れて行ったのか?」
「はい。ご心配には、及びません」
「そうか」