時を繋ぐ真実の物語<「私の獣」番外編>
すると、ドアをコツコツとノックする音がした。
「ロイ坊ちゃま。お客様がおいでです」
聞き慣れた声は、世話人のリザのものだ。
リザは乳母として、生まれて間もなく家を出て行った母の代わりに、ロイを育てた。そして父親にも捨てられてからは、ロイの唯一の同居人だ。
家事から身の回りの世話に至るまで、全て一人でこなしてくれている。
ロイがドアを開けると、心配そうに自分を見上げる老婆の顔が目に飛び込んできた。
リザの表情で、ロイはまたアメリが来たのだとすぐに知る。
リザはロイが他人を邪険に扱う姿を見るたびに、こういう顔をするからだ。
(まだ諦めていなかったのか…)
ため息交じりに廊下に出たロイは、玄関の戸を開けた。
ずっと暗がりの中にいたので、太陽光が目に染みる。
「ご無沙汰しております」
白い光の中で細められたエメラルドグリーンの瞳から、ロイはすぐに視線を逸らした。
この女が微笑むと、不思議といつも色とりどりの光が見える。胸の奥底をくすぐるようなその淡い光が、ロイは苦手だ。
「ロイ坊ちゃま。お客様がおいでです」
聞き慣れた声は、世話人のリザのものだ。
リザは乳母として、生まれて間もなく家を出て行った母の代わりに、ロイを育てた。そして父親にも捨てられてからは、ロイの唯一の同居人だ。
家事から身の回りの世話に至るまで、全て一人でこなしてくれている。
ロイがドアを開けると、心配そうに自分を見上げる老婆の顔が目に飛び込んできた。
リザの表情で、ロイはまたアメリが来たのだとすぐに知る。
リザはロイが他人を邪険に扱う姿を見るたびに、こういう顔をするからだ。
(まだ諦めていなかったのか…)
ため息交じりに廊下に出たロイは、玄関の戸を開けた。
ずっと暗がりの中にいたので、太陽光が目に染みる。
「ご無沙汰しております」
白い光の中で細められたエメラルドグリーンの瞳から、ロイはすぐに視線を逸らした。
この女が微笑むと、不思議といつも色とりどりの光が見える。胸の奥底をくすぐるようなその淡い光が、ロイは苦手だ。