時を繋ぐ真実の物語<「私の獣」番外編>

アメリは眠っていた二年の間に、一つだけ不思議な夢を見た。


ひょっとすると気のせいなのではないかと思うくらいおぼろげで、不鮮明なものだったが、どうしても忘れることが出来ない。


真っ暗な空間に横たわる少年。


まるで猛毒に侵され眠り続けていたアメリ自身のように、ひどく汗を掻いていて、ぐったりとしていた。


そして印象深いのは、黄金に輝くその髪色だった。金糸雀色よりも色素の薄い黄檸色の髪が、漆黒の闇の中で煌々と輝いていた情景が忘れられない。


深海を彷彿とさせる深いブルーの瞳を持つ少年の顔立ちは、カイルに良く似ていた。





彼もまた、予言の書によって苦しめられているこの国の王太子なのでは、とアメリはずっと思っていた。


だが、カイルより以前にこの国に金色の髪を持つ王太子はいない。


ということは、もしかしたらこの先生まれるこの国の王太子なのではないだろうか。










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