親友だから 【 短編小説 】
親友だから



キーンコーンカーンコーン






「なーつきっ!帰ろ!」




ホームルームが終わると、待ってましたというように私の席に駆け寄ってきたのは、中学の時から一緒にいる親友の由実。




「うん!」




帰りの用意を終わらせていた私は、席を立ち由実と一緒に教室をあとにする。






私は泉夏樹(イズミナツキ)。


高校二年生で、ごくごく普通の女の子。


特にこれといった取り柄はないし、成績も普通。


毎日由実と一緒に帰る時間が、とても楽しくて大好き。







「ねぇもうすぐ夏休みだよ!今年もプールとか行く!?」




テンション高めな由実。


でも私も、「夏休み」という言葉を聞いて気分が上がる。




「行く行く!新しい水着買おうかなぁ〜」


「え!じゃあ私、夏樹の水着と色違いのやつ買おうかな!」


「双子コーデってやつ??」


「私たち身長も体型も同じくらいだし、色違いの着れば絶対可愛いよ!」


「可愛いとか自分で言っちゃう?でも、いいね!私たちだからこそ似合うやつ買おう!」


「さんせーーい!」







校門を出るまでに盛り上がる話。


お互い、いつも笑いが耐えない。


由実は可愛くて優しくて、元気で明るい。


ずっと話してられるし、一緒にいて楽しい。


嫌なことがあった時も、嬉しいことがあった時も、お互いなんでも共有しあってきた。


何があっても私の味方でいてくれて、何があっても私は由実の味方。


隣にいてくれると安心できる、私の大切な親友。












夏休みの計画の話をしながら校門をでて、しばらく歩いた先にバス停がある。


私はそのバスに乗って帰る。


由実は、私とは反対の道を歩いて帰るから、一緒に帰ると言ってもバス停までの間しか一緒にいられないんだよね。






私も由実と同じ方向だったらなぁ〜。






でも、由実はいつもバス停まで送ってくれて、バスが来るまで待っていてくれる。


バス停の方は由実が帰る道とは逆なのに。


本当、優しいなぁ由実は。




そして、由実はいつものようにバス停まで来てくれたのだが、今日は少し違和感に気づく。


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