親友だから 【 短編小説 】
私は由実に手を振り、バス停の方に向かう。
後ろを振り返り、由実の方を確認すると、由実もちゃんと家路に向かっていた。
ホッと胸をなで下ろす。
……よかった。
無事に帰れそう。
そしてバス停の方に視線をやると、私はやはり、“それ”を目にした。
ーーー黒いパーカーの男。
…………いる。
やっぱり、さっきと同じなんだ。
もし由実がここに来ていれば、あの黒いパーカーの男に殺されているところだった。
由実を急いで帰るよう急かしてよかった…………
と、その時だった。