親友だから 【 短編小説 】
黒いパーカーの男が、こちらに近づいてくる。
…………え?
そして、私の横を
………………通り過ぎた。
…………まさ……か…………
由実のところに…………?
え、なんで…………
だって、あの時バス停に残ったのは由実とあの男だけ。
あの男は、ちょうど近くにいた由実を目につけて、殺したんじゃないの?
誰でもよかったわけじゃないの?
「由実」を………………
“狙っていた”のーーー?
男は、ポッケに手を突っ込みながら早歩きで由実の帰る方向に足を向ける。
私は、気づかれないようその男について行くことにした。
「……えっ」
血の気が引いた。
だって
電信柱の陰に
由実の姿が見えたから。