暴走族の姫 Ⅱ
ピンポーンピンポーン
















「多分、知り合いの医者だ。見てくる。」

















月冴はそう言って、静かに部屋を出ていった。

















月冴side







月冴「はい。やっぱりお前か。急に頼んだのにありがとな。上がってくれ。」
















???「あぁ。」

















〔ピンポーン 50カイデゴザイマス。〕
















月冴「久しぶりだな、珠兎(しゅう)。お前も日本にかえって間もないのに悪いな。」
















珠兎は少し口角をあげて笑みを漏らした。
















切れ長の目で端正な顔立ちの珠兎と呼ばれている男はその姿は様になる。
















珠兎「お前がそんなこと言えるようになるなんてな。人は変わるもだな。」
















会った途端にこれだ。

















珠兎とはCAPSG特殊訓練所のときの同期生で寮の部屋が一緒、部隊も一緒という腐れ縁っぷり。
















月冴「お前は少しも変わってないな。変わったことと言えば、アメリカで医師免許を取ったことくらいか。」
















こいつは30歳にして、アメリカの医療大学に留学し、医師免許を取るといった奇怪な行動を取る変わり者だ。
















珠兎「だから、こうして薬を提供出来るんだろ。これからは闇医者として開業する予定だ。」














この世界、やはり普通の医者より闇医者の方が稼げるのは間違いなかった。
















月冴「その、薬の用途先がすぐそこで待ってる。」
















俺は、真剣身を帯びた顔でそう珠兎に告げた。
















珠兎「あぁ。点滴台は用意してあるのか?処置は俺がするから、お前は少し休め。」
















やはり、長い付き合いの珠兎には隠せないだった。俺は時々、眠れなくなる。
















昔、過酷な戦場で戦ったことがあり、塹壕で眠っていたところを爆撃され、さっきまで隣に寝ていた戦友がバラバラになっている。
















そんなことが日常的にあって、俺は眠れなくなる事が多々ある。
















このことを話しているのは、CAPSG時代の友人で医療講義の成績トップだった珠兎だけだ。

















珠兎「眠剤はあるのか?一応持ってきたが…。」
















この友人は少しできすぎるところがあるように思う。
















月冴「あぁ。ちょうど薬切らしてた。貰えるとありがたいな。じゃあ、俺はリビングで寝てくるから寝室にいる患者をよろしくな。」
















俺は、キッチンで水をコップに入れ眠剤を飲むと静かにソファで入眠姿勢をとった。
















それを始終見て、やっと珠兎は寝室に入っていった。
















月冴「過保護なやつ…。フッでもありがとな。」








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