冷酷な王さまは愛し方を知らない
「あいつがいい」
「はい?」
「どうせ欲しくもない王妃を選ぶなら、あの花屋の女がいい」
「…クリスが言っていたリズという娘ですか?」
ポロリと自然とそう言っていた。
ようよう考えてそんなことは無理だと気付くが言ってしまったものはもう遅い。
「庶民を…。そうですね、ですがそうするには貴族たちを納得させなくてはなりませんよ」
「…は?」
「まぁ、どうしても納得はされないでしょうが…。まぁどうにかしてみましょう」
キースの返事は思っていたモノとは180度違った。
絶対に無理だと言われると確信していたのに。
「庶民だぞ…。いいのか?」
「アルさまのご希望なら私は協力するまでです。ですが、一応素行調査はさせてもらいます」
「…ああ」