冷酷な王さまは愛し方を知らない


キースの反応を見て、ふと思った。
そういえば、キースは俺の言うことを否定したことはない。
俺の望みをどんな形であれ叶えようとする。
変な男だ。


だからといって、こいつの事を信用しているわけではない。
誰も信用なんてできない。

人は裏切るものだ。



信じたものが馬鹿を見る。
そんな世界に俺はいる。


しかし、キースは本当にリズを俺のものにするために話をまとめてきた。
しかも、最近動きの怪しい貴族ドーマルの尻尾を掴むため、そのメンバーに娘ルナを加えることも忘れないという周到ぶり。



「どのような形で尻尾をだすかわかりませんので、十分に気をつけてください」

「わかっている」



だが、何度か時間を過ごしてもなかなか尻尾をださない。
貼り付けられた笑顔でにこやかに話をするだけ。

しかし、そろそろ何か動くことは確かだった。
普段は部屋で過ごしていたのを突然中庭で過ごすと言い出し、なにか動きを見せるだろうと思っていた。



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