冷酷な王さまは愛し方を知らない
「アルさま…お怪我は…」
それでも、見えない場所にあったらと不安にかられそう尋ねると一層不機嫌さを顔に浮かべ睨むように見られた。
「お前が庇ったんだろう!怪我などあるか!!」
「す、すみません…」
空気が揺れるほどの怒号。
ビクッと肩を揺らすと、腹部に鈍い痛みが走った。
それが表情に出ていたのか、アルさまはハッとしたように目を見張った後バツが悪そうに顔を歪めた。
「リズさま、ここはアルさまの自室です」
「…えっ!?じゃあ、…ここはアルさまのベッド…」
「左様です」
「そんな、なら私すぐに…」
見覚えのない場所だと思った。
医務室にしては豪華な装飾がされていて、普通の部屋のようだとは感じていたけれど。
まさか、アルさまの自室だったなんて。
起き上がろうとした私は痛みにほとんど動くことができなかった。