冷酷な王さまは愛し方を知らない
私の怪我の状態が少し良くなり、傷跡はまだ残るけれど痛みがほとんどなくなった頃。
残りの候補者が集められ、それは告げられた。
「今回の候補者選出の該当者はなし。ということになりました」
「…え!?そんな!」
ミリアさんがそれにいち早く反応し声を上げる。
誰も選ばれないという事も在り得る。
最初にアルさまは確かにそう言っていた。
「これはアルさまの判断です。皆様には明日中に王城から退出いただきますよう準備の方をお願いいたします」
キースさんが淡々とそう説明する。
はじまりも突然だった。
そして、終わりも突然で呆気ない。
「あの、最後にアルさまとはお会いできないのでしょうか」
「アルさまは御公務で忙しくされております。時間を取ることはできません」
去る者は追わない。
もう候補者ではない私たちに興味はないという事だろうか。
それはとても悲しいことだと思った。