冷酷な王さまは愛し方を知らない


「あ、あの、私サーシャさんには話していません」



店を出て、路地裏に入り人気がないところまでやってくると、私は開口一番にそう言った。
余計な不安をクリスさんに与えてしまっていたのかもしれない。
ちゃんと話しませんって言っておけばよかった。



「え、ああ…。ごめん、違うんだ。そんなことを確認しに来たんじゃないよ」

「え…」

「ごめんね、リズにも変な秘密を抱えさせてしまって」

「いえ、そんな…。心配させたくない気持ち、わかりますから」

「ありがとう」


でも、そうじゃないならなんの話だろう…。
こんな風にサーシャさんの目から離れて話すことだから、きっとそのことだろうと思っていたのに。



「アルさまの事だ…」

「え…?」

「今回の結論…。正直驚いてる」

「結論…?」

「該当者なしってやつだ」



誰も選ばれなかったということ?
でも、それは仕方のないこと。
アルさまだって、やっぱり気の合う人と結婚したかったという事。
誰でもよく家柄や肩書だけで選ぶ人ではなくて良かったと思うけれど。



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