冷酷な王さまは愛し方を知らない
でも、家柄や肩書がなくても、シイナさまはとても素敵なお方だったと思うのに。
幼なじみのようなものだとおっしゃっていたから、そう言う対象ではないのかしら。
「リズ。お前は、王さまの事どう思っていた」
「私…ですか?」
「正直に話してくれ」
「私は…。もっと、知りたいなと思いました。最初はどのような人か測り知れなくて、でも、最後の方になってようやくアルさまのお人柄を知れたような気がしたので…。もう少し知ってみたいなと…」
アルさまの思う事感じていること聞いてみたかった。
他愛ない時間を共に過ごしてみたかった。
「アルさまは…、本当はお前を選ぶはずだった」
「え…?」
「その為の、遠回りな企画だった」
「どういう…」
苦渋の表情を浮かべクリスさんが話すことは、すんなりと理解するには困難で。