冷酷な王さまは愛し方を知らない

星空祭



『天候にも恵まれ、無事この日を迎えられたことを嬉しく思う』


抑揚のない淡々とした口調で始まった挨拶。
まるで文章を読んでいるようだ。
なんとなくそれが、不器用なアルさまらしくて思わず笑った。

アルさまが王さまになって初めての星空祭。
無事開催されて嬉しく思う。

挨拶は、その調子のままつづけられ、アルさまの掛け声と共に一斉に明かりが消される。



一瞬にして暗闇に包まれる会場。
しばらくして目が暗闇に慣れてくると、月明かりと、キラキラ輝く満天の星空。

あちこちで暖かな時間が流れている。
その中で私は一人星空を見上げる。



いつか私も、大切な人と………。


そんな事をぼんやりと考えた。



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