冷酷な王さまは愛し方を知らない
「座ろう」
そう手を引かれ、言われるがまま。
引き寄せられるようにアルさまの足の間に座らされる。
近すぎる距離にはなれたかったけれど、アルさまの手がそれを許さない。
ドクン、ドクン、となる心臓がアルさまに聞こえてしまいそうで。
「願いを込めて飛ばせば、その願いは叶う―――か」
「はい」
「バカバカしい…、ずっとそう思っていた」
アルさまの声がとても近くて。
まるで抱きしめられているような体勢は、私の心臓の音を一層高くさせる。
「だが…、お前となら、悪くない」
「アルさま…」
「俺の願いなど…、叶うはずもないがな」
それはとても切なく響いて。
アルさまの願いとはなんだろう。
かなうはずのない願い。
シュッと火をつける音が聞こえる。
ふと気づけば遠目に次々と火の灯りがついていくのがわかる。
アルさまが用意した灯篭に火がともされた。