冷酷な王さまは愛し方を知らない
ゴーン、ゴーン、と鐘の音が鳴る。
10回その音が鳴り響いたあと紙灯篭を飛ばす。
少し高いその鐘の音を聞きながら、アルさまの持つ灯篭に手を添えた。
言葉はない。
ただ、寄り添いその鐘の音を聴く。
そして最後の金が鳴り響いたあと一斉に紙灯篭が空にあがる。
私とアルさまが手にしていた紙灯篭も空にあげると、風に揺られながら上へ上へと上がっていく。
どこまでも高く、ほのかな明かりを灯しながら。
あちこちに同じように上がる紙灯篭のどれよりも、眩いて見えた。
「…少しだけ、許してくれ」
アルさまの声が聞こえた瞬間、私の身体はアルさまの腕の中に包まれていて。
ギュウッと強く抱きしめられる。
アルさまの顔が私の肩にあって、呼吸さえ聞こえてしまいそう。
「あ、るさま…」
いったい、何が起きているんだろう。
どうして。
突き放すことなんてできない。
相手が王さまだからじゃない。
どうしてだろう。
嫌じゃなかったのだ。