冷酷な王さまは愛し方を知らない
どれくらいそうしていたのだろう。
互いの間に言葉はなく。
ただ静かな時が流れる。
アルさまは、何を思っているのだろう。
灯籠にどんな願いを託したのだろう。
聞きたかった。
でも、聞けなかった。
「アルさま」
その静寂を破ったのはどれほど経った頃だったろう。
その声は、クリスさんのものだった。
「っ、く、クリスさん…」
「やぁ、リズ。ごめんね、邪魔して」
「邪魔だなんて…」
自分の状態を思い出し、顔に熱が集まる。
「アルさま、すみません。これ以上は…」
「わかった」
アルさまがクリスさんの声に立ち上がる。
私に手を差し出し、立ち上がらせてくれる。
終わってしまう。
そう思うと、なんだか寂しいような切ないような。
なんでそんな風に思うのだろう。
「悪かったな。お前の時間を奪ってしまった」
「え…?そんな!奪ったなんて…。楽しかったです…」
それは本心だった。
楽しんでいた。
楽しい時間だった。