冷酷な王さまは愛し方を知らない
「どうしたの、ボーッとして。恋でもした?」
星空祭が終わり、日常が戻って来た。
花屋でいつも通り働いていた私に、サーシャさんが突然声をかける。
「えっ!?」
「なんだかボーッとして考えているみたいだから。悪い感じしないからいい悩みなのかなぁって」
「こ、恋なんて…」
「違うの?そういう相手ができたのなら、私は嬉しいんだけど」
サーシャさんは笑ってそう言う。
恋なんて、する相手なんて……。
ボーッとしていたのは…。
そう振り返った時、私が考えていたのはアルさまの事だとふと思った。
この間の星空祭での出来事が忘れられない。
抱きしめられた温もり、共に過ごした時間。
でもそれは、楽しかったからで。
恋なんかでは…。
アルさまは王さまで、私なんかが恋をしていい相手ではない。