冷酷な王さまは愛し方を知らない
いったい何が…。
恐る恐る目をあけると、そこには残酷な光景が広がっていた。
私に馬乗りになった男が血に濡れ、息絶えている。
他の男たちも怯えたように距離を取る。
見上げたそこに、立っていたのは。
血濡れた剣を片手に、おぞましいほどの黒いオーラを纏ったアルさまの姿だった。
「アル…さま…?」
初めて見るそんな姿。
口調は冷たく、にこやかな方ではなかったけれど。
こんな風に、恐ろしい雰囲気のアルさまは知らない。
これが、戦場のアルさまの姿…?
「自国の兵が国のために戦おうとしている時に、なんと悠長なことだな。命が惜しくないと見える」
「な…!なんだ、貴様…!」
「お、おい!こいつ…!アルヴィンだ!イリア王国の王!」
「な、なんで大将がこんなとこに!?」
先ほどまで強気だった男たちが青ざめた顔で後ずさっていく。