冷酷な王さまは愛し方を知らない
キースさんが私に上着をかけてくれる。
ふと辺りを見ると、すべては終わっていた。
息絶えた男たちがあちこちで倒れている。
吐き気を覚え、口を押え俯いた。
「大丈夫ですか?」
「…っ、ごめ…なさ…」
きっとこれは、私のため。
襲われていた私を助けてくれるためにしたこと。
私がイリア王国の国民だから。
それでも。
「平気か」
アルさまの声に、否応なしにビクッと肩が震えた。
先ほどの男たちへ向けた声とは違うどこか優しげな声であったのに。
「……。キース、後は頼んだ」
「はっ。アルさま、お気をつけて」
「…ああ」
そんな私の様子を悟ったのか、アルさまはそれ以上私に声をかけることなくキースさんに声をかけると馬に飛び乗りいってしまった。
「あ……」
「いきましょう。リズさん。これ以上ここにいるのは危険ですから」
キースさんに促され立ち上がる。
支えられながら私はその場を後にした。