冷酷な王さまは愛し方を知らない
場違い
「とても綺麗よ、リズ」
「うん!とっても似合ってるわ!」
声高々と両側から飛んでくる賞賛の声に恥ずかしくなる。
今日は舞踏会当日。
サーシャさんに用意してもらったドレスに身を包み鏡の前に立った。
「私、背も低いし胸だって…、ちんちくりんじゃないでしょうか」
「背が低くても大丈夫なようにかわいい系のドレスにしたの。大丈夫よ」
「とっても似合ってる!」
そこまで褒められると逆に不安になるというもの。
まぁ、でも。
別に誰が見るでもないのだし。
私がどんなみすぼらしい格好をしていたとしても、気にとめる者は誰もなし。
そう思えば少しは気が楽だわ。
どうせきっと、結果は決まっているんだろうし。
庶民から婚約者をなんて、そんな破天荒なことするはずがない。
ただの王さまの気まぐれ。
貴族のお遊びの延長みたいなものよね。
だったら、楽しんでしまおう。