冷酷な王さまは愛し方を知らない
「アルさまに、リズさんを城にお連れするように言われています。そこで傷の手当てをしましょう」
「…その前に、花屋に寄っていただけませんか?サーシャさんに、心配をかけてしまったので」
「わかりました」
サーシャさん、きっと心配している。
私のためにクリスさんに頼んでくれた。
でも……。
クリスさんが騎士団だって、ばれてしまったんだわ…。
クリスさん、隠していたのに。
私のせいだ…。
「リズ!ああ!リズ!無事で…!」
「サーシャさん、ごめんなさい…っ」
花屋につくと、店先に立っていたサーシャさんが駆け寄って抱きしめてくれた。
サーシャさんは泣き腫らした顔をしていて、どれ程心配をかけたか伝わってくる。
胸が痛い。
「よかった…。よかった…。でも、頬がこんな腫れて…」
「これくらい、大丈夫です…。ごめんなさい、私…。買い付けた花…」
「なに言ってるの!花くらいどうってことないわ!花はまた買いに行けばいいの!」
もっとよく顔を見せて、とサーシャさんが私の頬を温かい手で包む。
張り詰めていたモノがフッと解けて、涙があふれた。