冷酷な王さまは愛し方を知らない
想う心
「疲れていないか?」
「アルさまこそ…」
言葉通り、着替えを済ませ部屋に訪れたアルさまとソファに座り話を始める。
戦場のアルさまとは違う、ぎこちなくも優しいアルさま。
「お元気でしたか…?」
「…ああ。リズ、お前も変わりなく見えるが」
「はい…。相変わらず花屋で働いております」
「そうか…。いいではないか」
アルさまに、自分が思い当たらなかったことを気づかされて。
それでもやっぱり、花屋を辞めたくはなかった。
それは、私が私のことしか考えていないということになるのだろうか。
「花のそばにいるお前は、とてもいい顔をする」
「え…?」
「俺は、その顔が好きだ」
サラリと、そう、まるで息を吐くように言われる。
それは、とても暖かな表情で。
息を飲んだ。
「お前を、俺のものにしたかった」
「アルさま…」
「だが……、それは叶わないと気づいた」
「え…?」