冷酷な王さまは愛し方を知らない


「精が出ますね」



サーシャさんに頼まれた花を店先に飾っていると、不意に声をかけられた。
花を置いて顔をあげると、キースさんがそこには立っていた。



「キースさん!こんにちは」

「こんにちは。お身体の方はいかがですか?」

「あ…、もう全然。ただの打ち身や擦り傷だったので痛みは引きました」



キースさんはいつもの正装ではなく、フランクな私服のようだった。
キースさんの私服は見たことがなかったからなんだか不思議だ。



「あの…、どうされたんですか?お花をお探しです?」

「いえ…。アルさまに、あなたの様子を見て来いと頼まれまして」

「え……」



アルさまが…。
その言葉にポッと頬が熱くなる。
気遣ってくれたことに喜びも感じる。



「アルさまは、今ご公務で忙しくされていますので、代わりに私が…」

「あ、ありがとうございます。アルさまに、もう大丈夫だとお伝えください」




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