冷酷な王さまは愛し方を知らない
「こちらをつけてご自由にお楽しみください。もしかすると、気まぐれに王さまからダンスのお誘いがあるやもしれませんので、お楽しみに」
受付を済ませ番号の書かれた札を受け取る。
気まぐれに…なんて言われても。
誘われても踊れないし。
「うわぁー」
ユナは感嘆の声をあげ、辺りを見渡す。
キラキラと光り輝く装飾。
豪華な照明豪華な絨毯。
そして、煌びやかに着飾っている人たち。
この中には、本当の貴族のお嬢様もいらっしゃるのだろうか。
いたとしてもわからないわ。
見る人が見れば、着飾っているものでわかるのかしら。
生演奏が始まり、軽快な音楽が流れる。
アナウンスが始まりを告げた。
あちこちで、男性からダンスのお誘いを受けている女性たち。
私とユナはそっと端に寄った。
「ユナはいいの?私の事はいいから行ってきてもいいのよ」
「私の目的は、これだから!」
そう言って指差したのは豪華な食事の数々。