冷酷な王さまは愛し方を知らない
「それより、リズ。先ほど、王宮から使いの方が来られたんだが…」
「え…?」
「突然、母さんの治療費を負担するとおっしゃって…、手続きを済ませ大金を置いていかれてしまったんだよ」
「…え!?」
「治療ができるのはとても嬉しいことではあるが…。いったいどういう事なのか…」
困惑したようなお父さんの顔。
それもそうだ。
突然関わりなんてほとんどない王宮から使いがやってくるなんて。
でも、どうして…。
「私が、王城に行って話を聞いてくる」
「ああ…、頼んだよ、リズ」
私は今一度家を飛び出す。
王城に向かい真っ直ぐ。
どうして。
雪に足を取られながら、何度もこけそうになりながら進む。
いつ見ても堂々とそびえ立つ王城は、どこか遠いもののように思えていた。
「あの!アルさま…、いえ、キースさんでもいいんです!誰かに繋いでください!聞きたいことがあるんです!」
門番の人に必死な形相でそう告げた。