冷酷な王さまは愛し方を知らない
「突然訪ねてこられるなんて…、驚きましたよ」
「すみません…。よかった、キースさんが来てくださって」
「門番からあなたの事をきいたので」
出てきてくれたのはキースさん。
「あの…、私の母の治療費を負担してくださったと聞いて…」
「ああ、そのことですか…。アルさまがお決めになったことです」
「アルさまが…、どうして……」
「貴方のために、なにかをしたいと思ったのだと思います」
私のために…。
候補者選びの時、話をした覚えがある。
でも、私そのために王妃になりたいわけじゃないと…。
「アルさまはどうしたらいいのかきっとわからないのだと思います。アルさまができることが、それしかなかった。そういう事です」
「アルさまにできること…」
そんな…、別に何をしてほしいわけではないのに。
そんなことのために私はアルさまをお慕いしているわけではない。