冷酷な王さまは愛し方を知らない
「素敵な旦那様を見つけるのは?」
「それはその次!」
ユナらしいというかなんというか。
でも、だからこそユナとなら来ても楽しめると思って来たのだ。
こういう煌びやかなところは、少し苦手だから。
自分がとても遠いところにいすぎて、なんだか居心地が悪い。
場違いだってことが、とてもわかってしまう。
体位振る舞いにしても。
小さな所作一つとっても。
「あれ…?」
ぐるりと会場を見渡す。
音楽に合わせ踊っている人の隙間に、見覚えのある姿を見つけた。
「クリスさん…?」
花屋に来てくれるクリスさんによく似た人がいたような。
気のせいだろうか。
次の瞬間にはもう見えなくなってしまった。
こんなところにいるわけないよね。
ここに呼ばれている庶民は女性だけ。
男性は皆王族やその関係者、貴族の方々だと聞いた。
それともクリスさんは、庶民ではない…?
そんな、そんな人が私にとっては素敵な場所ではあるけれど、城下の小さな花屋に通ってくれることなんて…。