冷酷な王さまは愛し方を知らない


その声に力をもらったのか、身体が動く。
自分に向けられたナイフをグッと掴んだ。

まったく感情の見えなかったコハクの瞳がハッとしたように見開かれた。
熱く痺れるような痛みに顔を歪める。



「…なんで」

「死ぬ…わけにはいかないから」



ルナさんの思い通りにはさせない。
アルさまの心を少しでも揺らがせるようなこと。



「リズ!…貴様!離れろ!」



私の身体の上ギリギリを剣が振り切る。
一瞬の隙にコハクは私の上から飛びのき、そのまま姿をくらませてしまった。



「くそ!外だ!逃がすな!!」



慌ただしく喧騒が続く室内。
バクバクと心拍数が落ち着かずただぼんやりと震える手を見つめていた。




「リズ…、リズ!」




抱き起され名前を呼ばれようやく我に返る。
視界の先に見つけたのはアルさまの焦ったような心配そうな顔だ。



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