冷酷な王さまは愛し方を知らない
その後、ルナさまは拘束されどこかへ連行されてしまった。
逃げたコハクの行方は、わかっていない。
私は治療を受け、心配している両親に無事を知らせるため実家に戻っていた。
「本当に…、本当に、心配したのよ…」
「お母さん…ごめんなさい。もう大丈夫だから。お母さんの身体に障るから、落ち着いて」
お母さんはすっかり落ち込んでしまって、心苦しい。
こんな風に心配をかけてくなんてないのに。
お医者様には、心労も身体によくないから早く落ち着かせた方がいいと言われてしまった。
その上、手術もできるだけ早くにしないと手遅れになる、とも。
「お父さんも、心配かけてごめんなさい」
「そんな事、気にしなくていい。無事だったのだから!それに、お前を一人でいかせた俺の責任だ…」
「そんな!お父さんのせいじゃないわ。たまたま、運が悪かっただけよ」
お父さんには、あの誘拐が私を狙ったものだとは伝えていない。
たまたま捕まったのが私だったと伝えてもらった。
アルさまの見せしめのためだと知られてしまえば、お父さんの王族に対しての信頼がなくなってしまう。
アルさまのせいではないのに、アルさまを恨んでしまうかも。
それだけは、避けたかった。