冷酷な王さまは愛し方を知らない
きっとアルさまは、今回の事の責任を感じている。
アルさまのせいではないのに…。
私は、あの時のルナさんの話をアルさまにできていない。
ルナさんのお父さんがアルさまのお父様を暗殺した…。
そんな恐ろしいことを、アルさまに伝えることができなかった。
アルさまの心を、傷つけたくなかった。
でも、本当はちゃんとお伝えした方がいいのだろう。
真実を知りたいと思っているかもしれないのだから。
「リズ、お前に話があってきた」
「はい」
「お前を、正式に王妃として迎えたい」
「…え」
真っ直ぐ、なんの躊躇いもなく告げられた思いに私は息をのんだ。
私の想いに応えてくださったアルさま。
でもそれは、未来につながるものではないと。
通じ合ったからと言って、何が変わるわけもないと思っていた。
私とアルさまは、一国の王さまと、その国に住まう庶民。
その距離が縮まることなんてあるわけがないと思っていたから。