冷酷な王さまは愛し方を知らない
「よく、考えて答えてほしい」
アルさまは、ただそう言うと従者を連れて帰っていってしまった。
王妃として……。
どうして、今になってアルさまはそんなことを…。
アルさまは私を選んでくださるおつもりであの候補者選びを行った。
でも、その結果誰も選ばれることなく終わった。
それなのに、どうして?
私の気持ちがアルさまにあると知ったから?
でも…。
このタイミングで突然なんて、どうしてだろう。
「おじさんから聞いたわよ」
「え?」
「王さまからプロポーズされたんだって?」
「ぷ、プロポーズなんて…」
サーシャさんが面白がるように話す。
プロポーズ…。
でも、そういうことになるのだろうか。
「でも、なんだか浮かない顔ね」
「…私が王妃さまだなんて、私はただの庶民で」
自分の思いを吐露する。
自分の整理のつかない気持ちを。