冷酷な王さまは愛し方を知らない
「花屋で働くお前を見た。人に興味がなかった俺が、目を惹かれた。気になって知りたくなった」
「え…」
「それが始まりだ」
淡々とはじまった話。
自分の事だと気付くのに一瞬遅れた。
「リズを手に入れたいと思って、王妃候補として呼んだ。お前を選ぶつもりだった」
「…はい」
その話は、クリスさんから聞いた。
その後キースさんからも…。
アルさまの口から説明を受けることになるなんて…。
「だが…、気づいたのだ。俺を庇ってお前が傷ついたときに」
「え…?」
「俺のいるこの場所は、陰謀やどす黒いものが渦巻いている。お前は綺麗だ」
「えっ」
サラリと“綺麗”だなんて言われて驚く。
恥ずかしくなるけれど、割り込むことができず口を噤んだ。
「綺麗なお前を、そんな世界に近づけたくない。お前を汚したくない。そう思って、選ぶのをやめた」
私の、ため…?
王族の陰謀やら渦巻いているものは私にはわからない。