冷酷な王さまは愛し方を知らない
アルさまは変わろうとしているのだろうか。
候補者として再び出会ったころのような冷たさはない。
不器用ながら自分の言葉で思いを伝えようとなさっている。
ならば私も、自分の言葉で思いを返さなければ。
「アルさま…。私には正直、王妃になるという覚悟がどれほどのものなのか計り知れません。覚悟を持てと言われても、きっと無理なのです」
「…ああ」
「ですが、これだけは言えます」
きっと、それはずっと変わらない想い。
アルさまを好きだと確信したあの時から。
「私はアルさまの側にいたい。アルさまが悲しい時も、嬉しい時も、楽しい時も、憤る時も…側にいたいです」
戦から戻って来られた時のアルさまを思い出す。
孤独だったアルさま。
誰も傷だらけのその身体に手を差し伸べることができない。
例えアルさまを想っていてもそれが叶わない。
そんな中で、私だけは手を差し伸べたい。
痛む身体を支え、血に汚れたとしても。
その痛みを、分かち合いたい。