冷酷な王さまは愛し方を知らない
「そんな理由では、いけませんか?アルさまのお側にいる理由には、なりませんか?」
覚悟なんてない。
ただ好きなだけ。
ただお慕いしているだけ。
ただ…側にいたいだけ。
「十分だ」
アルさまはそう言って軽く笑う。
少しホッとしたような、また新しいアルさまの表情。
「アルさま…、お慕いしております。私を、あなたの側に置いてください」
「…リズ」
伸びてきた手に私の身体は浚われて温かな胸に抱かれた。
トクン、トクンと打つ胸の音が伝わってくる。
それは少し早くて、アルさまでも緊張することがあるのだと少しうれしく思えた。
きっと、アルさまのこの鼓動よりもずっと私の鼓動の方が早いけれど。
そう思いながら、私は身を委ねた。