冷酷な王さまは愛し方を知らない
「それは、治療費の代わりにというわけではないのね」
家に帰り、両親にアルさまとのことを告げると、神妙な面持ちでお母さんがそう言った。
その隣で、同じようにお父さんも至妙な顔をしている。
そんな風に思われても仕方ない。
一時的とはいえ治療費を出してもらっていることは確かなのだから。
「そうじゃないわ。アルさまのお人柄を知って、私の気持ちで決めた事なの」
「そう…。それはわかったわ。でも、お相手はこの国の王さまなのよ?王妃になるというのは、並大抵の努力では無理よ。やっていけるの?」
「そうだぞ。好きなだけでやれるものではないだろう。王妃なんて…」
お父さんとお母さんは不安そうに顔を見合わせる。
二人が心配するのも当然だ。
私だって、そのことについては不安でいっぱいだ。
アルさまは、負担がないようにすると仰ってくれた。
それでも、周りの目もあるし、王妃という器ではないって自分でもわかる。
「王妃なんてガラではないことは私自身がよくわかってる。でも…、アルさまのお側にいたいの。一番の理解者で、味方でいて差し上げたいの」
「覚悟はできてるってことか…?」
「はい」