冷酷な王さまは愛し方を知らない
そして私は一つ、サーシャさんにお願いをした。
「確かここら辺…」
記憶を辿りに私はとある場所に来ていた。
あの日、城からの帰り道抜け道に使ったあの通り。
あの場所で知った現実。
「あ…、いた…、ミリアさん!」
候補者の一人だったミリアさん。
お金のために王妃になろうと懸命だった。
その理由が、この間目の当たりにして納得できたの。
あんな扱いを受けていたら、なんとしてでも…そう思うに違いない。
同じ庶民でも、私は恵まれていたんだと知った。
「…あんた」
「お久しぶりです…」
ミリアさんは私に気づくと自分の身を隠すように腕で自分の身体を抱きしめる。
見られたくなかったのだろう、私に。
「なに、笑いに来たわけ?こんなみすぼらしい格好の私を」
「いえ…。あの、ミリアさんにお願いがあってきたんです」
ただの偽善かも。
ミリアさんの気分を害する提案かもしれない。