冷酷な王さまは愛し方を知らない
でも…。
「私、とある事情で働いている花屋を辞めることになったんです。その花屋は私が辞めてしまうと店主が一人で切り盛りしなくてはならなくなるんです」
「…だからなに」
「ひとりでは、なかなか大変な仕事もあります。あの…、もしよろしければミリアさん、そこで働いてはくれませんか?」
「は…?」
「ミリアさんなら、私も少しですが関わりもあり、全く知らない方に任せるよりはと…」
必死で訴える。
「なに言ってるわけ?私があんたになにしたか忘れたの?あんたを貶したのよ?」
「それはそうですが…。ミリアさんはマナーや立ち居振る舞いがとても素敵でした。それは、懸命に勉強し身につけたからだと思ったんです。そんな風に懸命になれる方なら、きっと仕事もきちんとこなしてくださるだろうと思って」
私にしたことは今は関係のないこと。
私の事が嫌いだとしても、その花屋にはもう私はいないのだから。