冷酷な王さまは愛し方を知らない
第一歩
「どうぞ、よろしくおねがいします」
深々と頭を下げ、私は王城に入った。
用意された上等なドレス。
私はこれに慣れていかなくてはならないのだ。
「アルさまは、あまり貴方を縛りたくないと仰っていますが、最低限のマナーは身につけていただかなくてはなりません」
「は、はい!」
「公の場でアルさまの隣に立つことも増えます。その時に貴方が困らないよう、指導してまいります」
「よろしくお願いします」
私の対応をしてくれているのはキースさん。
テキパキと必要事項を説明してくれる。
キースさんは私がここに来ることをどう思っているのだろう。
アルさまの意思を尊重するキースさんだけど、王妃という重大なことも簡単に認めてしまえるのだろうか。
「当面は準備期間として設けさせていただきますので、国民への発表は貴方が王妃さまとして仕上がってからとなります」
「は、はい…」
淡々とした口調は、本当に真意が見えない。
目まぐるしく進んでいく、変わっていく生活に、私も余裕がない。