冷酷な王さまは愛し方を知らない
「にぎやかだな」
扉が開き声がかかる。
顔を覗かせたのは、アルさまだった。
「王さま!!申し訳ありません!職務中に…っ!」
「アルさま…」
「城に入ったと聞いて様子を見に来た。荷の片づけは済んだのか?」
「はい。もってきたものはあまり多くないので」
着るものはここで用意してくださっているし、持ってきたものは思い出の写真や、大切にしているものだけ。
小さな鞄一つで事足りるものしか持ってきていない。
「セシリアか。謝る必要はない。お前の仕事はリズが少しでも穏やかに過ごせるようにすることだ。リズの話し相手になってやってくれ」
「…はい!私でよろしければ!」
セシリアは深々と頭を下げる。
そんな風に閑雅てくれているなんて…。
アルさまの心遣いがとても嬉しい。
「あの、私はこれで少し失礼いたします。また何かありましたらお呼び付け下さい」
「セシリア、ありがとう」
「失礼します」
気を利かせてくれたのかセシリアはそう言って部屋を出た。