冷酷な王さまは愛し方を知らない
「今回も、王さま自ら戦場に赴いて先陣切って戦っているという噂だよ」
「それは、珍しいことなんでしょうか」
「そりゃあ、王の首を取った方が勝ちだからね。本当なら、一番安全なところで戦の指揮をしていることの方が多いんじゃないか」
そういうものなのかしら。
戦の事はよくわからなくて。
自分の国の事でもあるのに、それじゃあいけないんだろうけれど。
「アルヴィン王は、恐ろしい王さまだと聞くし、この国は本当に大丈夫だろうねぇ」
「おじさん…」
「冷酷非道で、悪魔の血が流れていると言われているんだ。恐ろしいよ」
身震いするように肩をすくませ、おじさんはそう言う。
冷酷非道の王さま…か。
あまり公の場には姿を見せない王さま。
だから、そのお姿を見たことはあまりない。
見たとしても、遠目から。
肖像画みたいなものもないし。
アルヴィン王。
どんな人なんだろう。